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2006年9月 5日 (火)

『包帯クラブ』天童荒太(ネタばれあり)感想文

『包帯クラブ』天童荒太〈ちくまプリマー新書/筑摩書房〉

生きづらさを感じている十代後半の少年少女が、誰かの傷ついた場所に包帯を巻くことで癒しを求めていく長編小説。

傷ついた痛みを目に見える形にするために、傷ついた場所に包帯を巻き写真を撮る。

傷を目に見える形にして、それが何になる。偽善か。自己満足か。

傷ついた本人は他人に傷を見せることで励まされたり、共感してもらったりするだけでなく、過去の経験に冷静に向き合うことで気持ちに整理が付く。
他人の傷を見ることで、自分以外の人間も傷ついていることを知り、傷ついている人のために何かできることを考え行動するきっかけになる。

そして、他人の痛みに気づかない想像力の欠けた人間に気づいてもらう。

主人公は、初めてエッチした相手の男子高校生に避妊の知識がないために、二度とやる気にならなかった。「コーラで洗えば避妊できる」って30年前のヤンキー知識か。でも今どきの若い子でも本気でそんなこと信じていそうで怖いな。ゴムをつけるってめんどくさいしカッコよくないけど、妊娠してからじゃ遅いよ。

たいていの女の子は、性的暴行とか性的虐待までいかなくても、学校の先生や通りすがりの大人に痴漢行為やセクハラ発言や性的嫌がらせを受けて不愉快になった経験を持っているでしょう。性的嫌がらせしている人間は受ける側の不快感を思いやる想像力に欠けているから悪気なしにそういうことができる。やる側は軽い気持ちでも、受ける側の傷は大きい。

最初に包帯を巻き始めた少年は、小学校のとき不幸な形で友人二人を失った。
いつも一緒に遊んでいる三人組のうち一人を、二人でからかっていた。からかわれている方はいつも笑っていた。
からかっている二人はふざけているつもりだったが、からかわれている一人はいじめと感じていて嫌だと思っていた。そしてある日爆発して、からかわれている方が友達に一生障害が残る大怪我を負わせた。
少年は、自分が加害者を止められなかったこと、自分が被害者になっていたかもしれないこと、そして自分が無神経に加害者を追いつめていたことに悩み、不可解な行動を続ける。

無知のために、作らなくてもいい傷を作るおろかさ。

知らないこと、気づかないことはいつか自分が「被害者」や「加害者」になる可能性を大きくする。
傷つくことがこわい、傷つけることがいやなら、正しい情報を持ち現実を見すえる強さを持つことだ。

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