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2008年1月21日 (月)

ETV特集 「父とチャコとボコ~金子光晴・家族の戦中詩~」

NHK教育で詩人・金子光晴を取り上げていました。

◆ETV特集「父とチャコとボコ~金子光晴・家族の戦中詩~」
NHK教育/1月20日(日)午後10時00分~11時00分
ETV特集 (NHK公式サイト)

昨年(2007年)、金子光晴と家族が戦時中に書いた詩を集めた手書きの詩集『詩集 三人』が、古書店から発見されました。

番組では光晴の孫娘の夏芽さんが、光晴の足跡をたどりました。

金子光晴というと、戦前に妻と二人で欧州や東南アジアを放浪した旅から生まれた異国情緒と肉体感覚の豪華な詩、反戦、反権力、鋭い現実批判の詩で知られます。
代表作『こがね虫』『マレー蘭印紀行』『蛾』『落下傘』『人間の悲劇』など。

しかし光晴の孫と同年代の私には、彼の人は「やさしいじいちゃん」のイメージです。金子光晴の詩に曲をつけた合唱曲「若葉よ来年は海へゆこう」を中学校で覚えてすごく気に入り、この詩が収録された詩集も買いました。番組中にこの合唱曲も歌われました。
初めての孫娘・若葉とその妹・夏芽へのあふれる愛情と、孫娘たちの未来への不安や悲しみをつづった『詩集 若葉のうた』〈勁草書房〉は、反権力の詩人といわれる金子光晴の作品の中ではひどく優しい詩でかなり異端作です。読み返すと美しく深い愛情に泣けてきます。

昭和十九年、召集令状が届いた十九歳の一人息子を喘息と偽り徴兵を逃れ、家族三人で山中湖に疎開します。
隠れ住むつましい暮らしの中で、家族が作った詩を集めて詩集が作られます。
詩集では妻・森三千代(小説家)は「チャコ」、一人息子・森乾(けん/のちにフランス文学者)は「ボコ」の愛称で登場します。
国家権力に反抗して作品を発表する場を失い、徴兵逃れをし世間から隠れながら家族を守ろうとする詩人の姿は、平和な世の中で孫娘の誕生と成長を見守る老人の姿へとつながります。
『詩集 若葉のうた』のなかで世の中が悪い方へ進むのをひどく恐れるのは、戦前戦中の戦争の狂気へ突き進む世間を見ていたから必死なのですね。

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