絵本『たべるトンちゃん』初山滋:作と絵
『たべるトンちゃん 絵と文:初山 滋/出版社: よるひるプロ (2005/11) | 『日本児童文学館〈第2集 27〉たべるトンちゃん―名著複刻 (1974年) 絵と文:初山 滋/出版社: ほるぷ出版 (1974) |
NHK教育テレビ「美の壺」で紹介された、初山滋の絵本『たべるトンちゃん(たべるとんちゃん/食べるトンちゃん)』に興味を持ちました。食い意地のはった豚(ぶた/ブタ)のトンちゃん(とんちゃん)を主人公にしたシュールでかわいい絵本です。
◇右月左月: NHK教育「美の壺」レトロな絵本~コドモノクニ
『たべるトンちゃん』はこれまで3回出版されました。
オリジナルは金蘭社(きんらんしゃ)より1937年(昭和12年)12月25日発行。
復刻版は、ほるぷ出版より1974年(昭和49年)発行(名著復刻日本児童文学館 第二集27)。
再復刻版は、よるひるプロより2005年(平成17年)発行。
■『たべるトンちゃん』を読むには
金蘭社版、ほるぷ出版版は絶版。
よるひるプロ版は、書店で「地方小出版流通センター」経由で取り寄せるか、版元から直接ネットで新品が購入できます。
「よるひるプロ」は東京・阿佐ヶ谷にある読書カフェ「夜の午睡(よるのひるね)」の出版部門です。長尾みのるや牧美也子の古いマンガを少しずつ復刊したりしています。
書店を通して取り寄せるのも時間がかかるので、直接よるひるプロで通販しました。
サイトにあるメールフォームで必要事項を書き込む→振込先をメールで連絡→代金振込み→発送と言う流れです。
タイミングよく連絡が取れたので、思ったより早く手に入りました。メルフォで申し込んだ夜にメール連絡→すぐネットバンキングで振り込み→翌日にゆうメール(冊子小包)で発送してもらい、申し込んで2日で手元に届きました。ゆうメールの送料は無料で、三菱東京UFJ銀行の口座同士なので振り込み手数料もかかりませんでした。
入金確認や発送メールは来ないので、書店やネットオークションのようにこまめに連絡が来ないと不安な人は覚悟してください。同人誌の個人通販ぐらいに気長にお待ちください。
〔2008/12/03追記:2008/11/25品切れ 版元サイトでご確認を。私が買ったのは11/19でした。やはり本は欲しい時に買わなきゃだめですね〕
買って損はない本ですが、実際に買う前に図書館で読む手もあります。
ほるぷ出版1974年刊行版は比較的多くの図書館に所蔵されています。古本屋でもそこそこの値段で売りに出されています。
お近くの図書館に所蔵されていない場合、他の公共図書館から取り寄せてもらうことができます。地元の図書館でご相談ください。
◇図書館リンク集
日本全国の公共図書館・国立図書館・私立図書館・大学図書館のサイトのリンク集
◇日本の古本屋 - 日本最大の古本検索サイト
「古書検索」で現在売りに出ている古本を探せます。
■オリジナルと復刻版の違い
『たべるトンちゃん』オリジナル金蘭社版(1937年)は大阪府立国際児童文学館に所蔵されています。
◇大阪府立国際児童文学館
▽日本の子どもの本100選(1868年~1945年)
オリジナル絵本の書誌情報・解題もネットで読めます。
▼B5サイズハードカバー(厚紙紙製上製)、紙製函入り。函と表紙と異なった絵を使用。
▼見返し2色刷り。多色カラー口絵2ページ。本文2色カラー64ページ。
▼本文最後のページに奥付と著者検印。
復刻版は、ほるぷ出版(1974年)もよるひるプロ(2005年)もオリジナルの装幀を踏襲しています。
ほるぷ出版の「名著複刻 日本児童文学館」は大正から昭和初期に出版されて絶版となった子ども向けの本の名作を復刻した企画で、昭和46年~49年に65点ほど刊行されました。
ほるぷ出版版『たべるトンちゃん』は、著者検印が本文用紙に直接印刷してあります。
よるひるプロ版の復刊では、長男の初山斗作氏所蔵のオリジナル本を元に、より忠実な色合いを再現し、著者検印の紙を別刷りして貼り付けてあります。
別紙で斗作氏の書き下ろし解説を挟み込んでいます。それによると、初山滋という人は相当偏屈だったようです。広辞苑にも略歴が載っているぐらい有名な画家なんですけど、親しみがわいてきます。
■『たべるトンちゃん』の内容
『たべるトンちゃん』の内容は、絵本とマンガの融合。
見開き2ページで起承転結のある四コママンガのような短い話が31編入っています。
「たべものを たべられる ときが いちばん すきだ」というブタのトンちゃんはとても食い意地がはっています。
お菓子や野菜、鳥や魚から、庭のごみ、石炭、ガソリン、果ては飼育係のおじさんまで食べてしまいます。
食べるための努力と空想を続ける、意地汚いけどにくめないトンちゃん。
絵がかわいいし、タイポグラフィ(文字の並べ方)や2色刷りの色使いがモダンでかっこいいし、文章にリズムとユーモアと毒があり、繰り返し読んでもあきません。
大いに食べて大いに太ったトンちゃんは、最後にとんかつ屋に買われて車に乗せられ(ちゃんとお客さんのように座席に座って)、いつも一緒に遊んでいた女の子(養豚所のお嬢さん?)と手を振ってお別れします。
「たべる とんちゃん は トンカツや に かはれて ゆき たべられる とんちゃんに なりました。おしまひ ビィ」
トンちゃんも女の子もこの先に起こることをわかってなさそうなところがシュールです。
個人的に『パンダコパンダ』のころの宮崎駿・大塚康生・高畑勲にまんが映画を作って欲しい。今の宮崎駿にアニメ化して欲しいとは思いませんが。
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