『光の回廊』清原なつの〈小学館漫画文庫〉
『光の回廊 〔小学館文庫〕』
清原なつの〈小学館文庫〉2009/05
〈収録作品〉
「光の回廊」「3丁目のサテンドール」「粟田洋館栗洋館殺人事件」「スキヤキ・ジゴロ」「バタフライ」
清原なつのさんのりぼん・ぶ~け時代の作品を再録した文庫コミックス。
全部もとのコミックスで持っていますが、改めて読み直して堪能しています。
「光の回廊」は光明子(こうみょうし)の生涯を空想を交えて描いた歴史マンガ。
光明子(光明皇后・安宿媛/701-760)は奈良時代の皇族。藤原不比等の娘で、聖武天皇の皇后。初めて皇族以外の出身で皇后の地位に着いた人です。
藤原氏の政治的台頭、皇位継承をめぐる肉親の争い、律令制と仏教信仰による国の統一、外国の文化の流入。
激動の時代に、藤原不比等の娘にして聖武天皇の生母という境遇を拒絶し精神を閉ざした宮子夫人。男勝りの政治的野望を持ち血なまぐさい政争に自ら飛び込む阿倍内親王(孝謙天皇)。
異母姉(姑)ほど精神的に弱くなく、娘ほどのぎらついた野心も持たず、自分の境遇を受け入れ流されていく光明子。仏教を深く信仰したのも精神的支えがほしかったからでしょうね。悲田院(貧民・孤児の救護施設)・施薬院(貧民のための診療所)を整えるなど、歴代皇后の中ではトップクラスによく働いた方ですけど。
作品中で参考文献に挙げられている『ペルシア文化渡来考 (ちくま学芸文庫)』伊藤義教〈岩波書店→ちくま学芸文庫〉によると、この時代、ペルシアの王族が日本にたどり着いたらしい記録があるそうです。人とともにペルシアで信仰されたゾロアスター教や進んだ土木技術などが日本に伝わりました。そういう可能性を膨らませて、光明子と流浪の異邦人の交流を想像して描いています。阿修羅がもとはゾロアスター教(拝火教)の最高神アフラ・マズダーだったという説は面白い。
1980年の「3丁目のサテンドール」から1988年の「光の回廊」まで並べてみると、たった10年足らずの間に画面が進化しています。作者の画力が向上したのが大きいですが、「3丁目のサテンドール」のころは背景や建物の壁や窓枠などに手描きのカケアミが目立ちます。服などにはスクリーントーンを使っていますが、まだまだスクリーントーンが高価だった時代。だからこそ「うどん粉吹雪!!」のバックの変な柄スクリーントーン乱舞はなかなかの贅沢でした。
作品の詳細な感想はサイトの作品リストにまとめます。
◆清原なつの作品リスト@夏貸文庫
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