『水曜日のクルト』大井三重子(仁木悦子)偕成社文庫、復刊!
『新版 水曜日のクルト』
大井三重子:著/浅倉田美子:イラスト(20029/05)
B6判ソフトカバー178P (偕成社文庫2118)
〈収録作品〉
水曜日のクルト/めもあある美術館/ある水たまりの一生/ふしぎなひしゃくの話/血の色の雲/ありとあらゆるもののびんづめ
去年「本の雑誌 304号(2008年10月号)」の三角窓口で、『水曜日のクルト』の復刊を希望するハガキを載せてもらいました。
今日、書店の児童書売り場を覗いてみたら、偕成社文庫の棚で『水曜日のクルト』の新装版をみつけました。ものすごくうれしくてたまりません。やっぱり読みたい本は読みたいと発言するといいことありますね。
『水曜日のクルト』は推理小説家の仁木悦子(にき・えつこ)さんが本名の大井三重子(おおい・みえこ)名義で刊行された童話集です。1961年に東都書房から単行本が出て、1976年に偕成社文庫に収録され、長らく絶版でした。
この本に収録の「めもあある美術館」は1967年から1975年まで小学校六年生の国語の教科書に使われました。近年でも「水曜日のクルト」が2007年にNHK教育テレビ「おはなしのくに」で子ども向け語り聞かせに使われたそうです。
仁木悦子さんは『猫は知っていた』で第3回江戸川乱歩賞を受賞した女性推理小説家です(公募制になって初の受賞)。幼い頃にかかった胸椎カリエスのため寝たきりになり学校に行けませんでしたが、お兄さんお姉さんたちのおかげですばらしい教養と豊かな心を教えられました。仁木さんの長兄は、学徒動員で太平洋戦争に出征し戦死されました。(お兄さんが帝大心理学部にいたとき同級生だったのが、江戸川乱歩の一人息子の平井隆太郎氏だったという不思議な縁があります。)「血の色の雲」には戦争で大切な人を失う悲しさがくっきり描かれています。
「血の色の雲」以外の作品はハッピーエンドですが、きれいなだけではない考えさせられるお話ばかりです。子どもにも大人にも読んで欲しい本です。
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