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2015年12月18日 (金)

雑誌「Number(ナンバー)」892号/佐藤信夫物語 名伯楽の知られざる選手時代◇2015年12月17日発売

文藝春秋が発行するスポーツ情報雑誌「Number(ナンバー)」(隔週木曜日発売)。
2015年12月17日(木)発売の892号はフィギュアスケート特集。
グランプリファイナル2015で世界歴代最高得点を更新した羽生結弦選手を中心に、浅田真央選手、宮原知子選手、宇野昌磨選手、永井優香選手、本田真凛選手、山本草太選手ら日本選手やコーチのインタビューや分析記事を掲載。



その中で、佐藤信夫コーチの選手時代の回想記が掲載されています。

ナンバーノンフィクション
文◎城島充
「佐藤信夫物語 名伯楽の知られざる選手時代」5ページ

佐藤信夫コーチが小学校5年でスケートを始めた時からの回想。

最初に個人レッスンを受けた時の永井康三コーチが氷上でサークルを描くときの「ゴリッ、、ゴリッ、ゴリッ」という音の記憶が今の自分を作った。
永井康三コーチは戦前に絵画を学ぶためにヨーロッパにわたり、現地でフィギュアスケートの魅力の取りつかれて独力で技術を学んだ。帰国して稲田悦子さんを指導。佐藤コーチのお母さんも教え子だった。
高齢の永井コーチが倒れて入院して、個人レッスンを始めて3日で指導が終わった。

戦争の混乱で、欧米から技術や環境が遅れた日本フィギュアスケート空白の15年間。
国際大会出場も、海外選手の映像を手に入れることも難しかった時代。
1953年に来日した世界チャンピオンの映像を1コマずつプリントした写真をパラパラめくって動きを参考にした。
コーチたちは試行錯誤して新しい技術を教えてくれた。
片山敏一コーチの指導でトリプルサルコウを始めた時(日本ではだれも3回転ジャンプを跳んだことがない)、「トリプルってなんですか」「跳び上がって、3回回っておりてくればいいんだよ」で2回転と3分の1ぐらい回って転倒し、死ぬ思いをした。

中学2年の冬から現役を終えるまで山下艶子コーチに師事。戦前オリンピック代表に選べレながら出場できなかった先生が、苦労をして習得してくれた技術を教えてくれた。

1960年のスコーバレー五輪に18歳で初出場。金銭的問題でコーチは同行せず一人で現地入り。8ミリカメラを持参して選手の演技だけでなくウォーミングアップやリンクの様子も撮影した。

その2年後、プラハ世界選手権出場のため初めてヨーロッパに渡る。練習のために立ち寄ったスイス・ローザンヌのリンクで現地の女性コーチに「フラットエッジになっている」と指摘される。そのやりとりでエッジをきかせたシャープな滑り、永井コーチのエッジで氷を削る音を理解した。

1965年アメリカ・コロラドスプリングス世界選手権で、3S(トリプルサルコウ)を成功させ総合4位に入る。ISUのエキシビションツアーに日本人として初めて参加。
世界の頂点に近づいたとき、日本の先生方がわずかな情報で工夫して指導してくれた技術が間違っていなかったことに気づく。

佐藤信夫は24歳で現役を引退し指導者となる。
見えない世界に必死に手を伸ばそうとした先人たちの情熱と探求心は、しっかりと受け継がれたのだろう。
最後に、佐藤コーチの言葉で締めくくられる。
「やっぱり、この世界は他人との勝負じゃないんですよ。自分の技術や見識をどこまで追求していけるか。私はそのことをいろんな先生に教えてもらいました。幸いにして、フィギュアスケートの世界は奥深くてどこまでいってもゴールがない。だから、続けられるんですよ」



今では小学生女子でも跳べるトリプルサルコウが50年前は命がけの高難度ジャンプだったのね。片山コーチの指導を受けていたのは山下コーチにつく前なので、佐藤コーチが中学2年のころ。
佐藤コーチの語りも面白いのだが、指導した先生方もすごい。海外に行くのもままならない時代、わずかな情報で世界トップの技術を想像し、それを選手に教える。そういう技術や知識の積み重ねがフィギュアスケートを進化させてきた。
フィギュアスケートの技術が格段に進歩した今シーズン、多くの先達の努力に感謝したい。そして次の世代に技術と情熱を伝えたい。




■Number(ナンバー)892号
(Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィックナンバー)

出版社: 文藝春秋
隔週刊版雑誌 AB判 オールカラー
発売日: 2015年12月17日
商品パッケージの寸法: 26.4 x 20.2 x 0.6 cm
定価:546円+税

FIGURE SKATING CLIMAX 2015-16 884号/2015年12月17日発売

FIGURE SKATING CLIMAX 2015-16 - Number892号 - Number Web - スポーツ総合雑誌ナンバー

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2015年11月NHK杯の衝撃から2週間、GPファイナルの舞台で羽生結弦は330.43点という異次元の高みに達した。
その背中を追って、次世代のトップスケーターたちが切磋琢磨を繰り返している。
今号では、羽生結弦のGPファイナル詳報を始め、世界最高得点を連発する羽生の方法論、
松岡修造さん連載特別編と「絶対王者」羽生に迫る記事に加え、
浅田真央、宮原知子、宇野昌磨、永井優香、本田真凛、山本草太ら日本フィギュアを彩るスケーターたちをクローズアップ。
1冊まるごとフィギュアスケート大特集号です!


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