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2020年7月 1日 (水)

エッセイ集『一陽来復――中国古典に四季を味わう』井波律子(岩波書店)

『一陽来復――中国古典に四季を味わう』
井波 律子 (著)

単行本: 四六判 ・上製(ハードカバー) 184ページ
出版社: 岩波書店
刊行日:2013/03/22
サイズ: 19 x 13.8 x 2.2 cm
定価:本体2,000円+税

今年、2020年5月に亡くなられた中国文学研究者の井波律子さんのエッセイ集。
2010年1月から2013年1月に『読売新聞』夕刊に連載された随筆と、
2012年1月から6月まで『日本経済新聞』夕刊に連載された随筆をまとめた本。

富山と京都と金沢で暮らしてきた井波さんが、日本の季節の花や行事や食べ物の思い出から、中国古典の漢詩や小説や歳時記から中国の風習や考え方を紹介します。

中国古典の世界と、現代日本の日常生活をつなげてもらえる至福の一冊です。

読むと学生時代に習った漢詩を懐かしく思ったり、初めて知る中国の風流な習俗に感心したりします。
特に面白かったのが<五日ごとの花だより>P99-100 の「花信風(かしんぷう)」と<一日一輪 梅花咲かせて春を待つ>P90 の「九九消寒図(しょうかんず)」。

「花信風」は「二十四番花信風」のこと。二十四節気のうち1月上旬の「小寒」から4月下旬の「穀雨」までの八節気を24に分け、各候に咲く花を配したもの。
※巻頭に「花信風」の一覧表つき

<次々に咲く花をめでるうち、いつのまにか寒い冬を過ぎ、春爛漫となるというのだから、考えただけで楽しくなってくる。>(『一陽来復』P100)

「九九消寒図」は十七世紀前半の明末に著された北京の風物や行事の記録、『帝京景物略(ていけいけいぶつりゃく)』に記された風習。

<北京の人は冬至の日から「九九消寒図(しょうかんず)」を描き始めると記されている。「九九」は寒さがつづく冬至以後の八十一日間を指し、「消寒図」は、冬至の日に梅の枝と枝につく八十一個の梅花を素描しておき、以後毎日、一個ずつ花を塗ってゆくという、いわば「塗り絵」である。八十一日かけてすべての花を塗りおわったときは、すでに春爛漫、花の咲く季節になっているわけだ。これまた厳寒に耐えながら、指折り数えて春を待つ気持ちを具体的にあらわす、まことに風雅で美しい風習だといえよう。>(『一陽来復』P90)


2009年3月に国際文化研究センターを定年退職し、1か月もたたないうちに同居していた実のお母さまを亡くされた後に連載されたもので、話はしばしばお母様の思い出につながっていきます。
1944年生まれで当時70歳近いお年でも、意外にもパソコンを活用されて文章を書いたりインターネットで調べものしたり、楽しそうな暮らしぶり。マンションのベランダで鉢植えの牡丹やアジサイなどたくさんの植物を育てている華やかな景色が文章から想像できます。

一陽来復 - 岩波書店
出版社商品紹介

>「年年歳歳 花相い似たり、歳歳年年 人同じからず」と唐詩に詠われるように、自然は再生をくりかえすが、人は成長し、また老いていく。旬の食べ物、両親との思い出、ベランダの樹々、京都やこれまでに暮らした土地に息づく伝統行事などを話題にしながら、漢詩や中国古典文学の場面を重ね合わせる随筆集。晴れやかな花の季節にふさわしい一冊。

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☆井波律子さんの暮らした街を『一陽来復』に書かれたことからまとめる
1944年2月11日 富山県高岡で生まれる
1952年 小学校2年生の終わりごろ、一家で京都・西陣に転居
当時の家族は、明治元年(1868年)生まれの父方の祖母、明治生まれの父、大正2年、東京・本所生まれの母、長兄夫婦とその幼い長男、三番目の兄と著者(二番目の兄は東京)
1956年、中学入学と同時に京都・賀茂川上流の住宅地に移り20年住む
(1966年、京都大学文学部卒業。1972年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1974年京都大学助手。)
1976年、金沢大学に赴任するため石川県金沢市に転居
(1976年金沢大学助教授、1990年教授。)
1995年春、19年勤めた金沢大学から、京都の国際文化センターに転勤。
当初は合同宿舎に住み、半年後にマンションに移る。退職までにもう一度引っ越し。
(1995年に国際日本文化研究センター教授。2009年定年退任)
2009年3月に国際日本文化研究センターを定年退職
1か月もたたないうちに同居の実母が95歳で他界。以後、夫と二人暮らし。
(2020年5月13日、肺炎のため京都市内の病院にて死去。76歳没)


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